書評
「標準小児科学 第7版」―森川昭廣 監修/内山 聖,原 寿郎,高橋孝雄 編
有賀 正
1
1北海道大学大学院・小児科学
pp.892
発行日 2009年10月20日
Published Date 2009/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101832
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
小児科学は関連する守備範囲が極めて広いため,限られた時間で必要な知識をもれなく習得することは,医学生にとって必ずしも容易ではない。一方,小児科学に限らず,標準的な医学書・教科書を持たない医学生が増えているという傾向がみられ,対照的に医師国家試験の対策のみに焦点を当てたマニュアル的な本が医学生の間で人気が高いという風潮もみられる。このような現象は,良質な医師を育てる教育的土壌として良くないことは明らかである。それぞれの科目における幅広い知識とその背景にある科学的基盤を習得し,診療科目ごとの理念を正しく理解することが良質な医師となるための基本であり,そのためには各診療科目において総論から各論までを通して学ぶことの重要性を今一度認識してほしいものである。
『標準小児科学』は,1991年に初版が上梓されてから今回が第7版の改訂であり,森川昭廣先生が監修し,内山 聖先生,原 寿郎先生,高橋孝雄先生が編集を担当している。本編は第1章の「小児の成長」から第5章の「小児診断治療総論」までの総論と,第6章の「新生児疾患」から第23章の「精神疾患・心身医学的問題」までの各論で構成され,広い小児科学の関連する守備範囲をもれなく解説している。
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.