書評
―井上博・奥村謙 編―EPS―臨床心臓電気生理検査(第2版)
杉本 恒明
1
1関東中央病院
pp.1286
発行日 2007年11月15日
Published Date 2007/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100932
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
『EPS臨床心臓電気生理検査 第2版』を恵与いただいた.書評の依頼は勉強せよということである.喜んでお引き受けした.ところで,本書は改訂版である.第1版は2002年に上梓された.この5年間に何が,どのように変わったかがみられなければならない.まず,章建てについては,三次元マッピング法の章が加わっていた.CARTO法である.第1版でも章の中で触れられていたが,これが独立した章となった.全体に,執筆者は概ね,同じであるが,多くの章で,追加の記述がみられていた.当然ながら,文献は新しい.変更のない章も図表の配置が工夫されて,一変し,読みやすくなっていた.比べていて,第1版にあった編集者による「あとがき」がなくなっているのに気がついた.読み直すと,じつにいい文章である.捨てるには惜しい.そこで,この機会にその一部を再録させていただく.
「心臓電気生理検査は面白い.期外刺激で頻拍発作が再現され,刺激によって頻拍が停止する.それだけで興奮を覚えたものである.頻拍中に加えた刺激に対するさまざまな反応の機序を考えるのは,パズルを解くのに似た知的作業である.未知の現象を見いだし,その理屈を推測する.しかも最近はアブレーションによりその推理の妥当性を証明できるようになった.これから臨床心臓電気生理検査を学ぼうとする若い人たちには,新知見を発見してみせるという気概を持っていただきたいと思う.検査をするだけで新知見が得られたのは過去のことである.何故か? もっとよい方法や指標はないのか? といった問題意識を持って検査に臨めば,新知見発見の醍醐味を味わえるかも知れない」
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.