書評
心房細動の治療と管理
杉本 恒明
1
1関東中央病院
pp.1779
発行日 2004年11月10日
Published Date 2004/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402107504
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心房細動は日常の診療で最もありふれて,また,頭を悩ますことの多い疾患である.本書によれば,60歳代で0.5%,80歳代で2.5%にみられるというが,これは健康人を含めての一般人のなかでの頻度である.悩むというのは,心房細動を診たときの検査の手順,細動発作の停止のさせ方,再発防止のための薬の選択,アブレーション治療の適応,主要な合併症である塞栓症の予防,さらにはQOLに対する洞調律維持と心拍数コントロールとの効果の違い,といった事柄である.本書はこうした疑問を6章にまとめ,47項目のQ&Aとこれに付随する解説という形で解答を与えている.
印象に残ったことをいくつか書いておきたい.その1は心房細動発作の扱いである.発作後「24時間以内の場合は心拍数コントロールのみで自然に洞調律化する」ことが多い,とあってわが意を得た.β遮断薬を頓用してお休み願うというのが評者のポリシーであるが,その根拠は経験的なものでしかなかったからである.実は以前にはジギタリスを頓用させたのであるが,昨今,ジギタリスは有効というよりも無効あるいは悪化とされることが多い.最もここで紹介されているエビデンスはジギタリス使用例も含んでいる.
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