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編集後記
藤岡 知昭
pp.920
発行日 2008年10月20日
Published Date 2008/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101596
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暑かった夏も終わり,みちのく・盛岡はすっかり秋の雲になっています。小生の夏休みは,昨年同様3泊4日でモンゴル医療奉仕団の活動でした。とはいえ,最終日には大草原を乗馬ならぬ四輪駆動車で奥地に向けて疾走し,蚊の大群に悩まされながらも大河での釣りを楽しみました。戦果は60cm強のパイク(岩魚)でした。今年も目標の1m 50cm超級の大魚・イトウ釣りは失敗に終わりました。日本食が恋しくなった奉仕団員の皆様にこの魚を賞味していただくことができ,釣り師としての小生の面目は今年も健在でした。
さて,今月号の総説は和歌山県立医科大学 原 勲先生の「新膀胱造設術の現状と展望」で,泌尿器科における不可欠な課題に関して貴重な示唆に富む内容です。興味深い点は,術後QOLの評価において,回腸導管と非失禁型尿路変向術の間,および回腸利用新膀胱造設術と結腸利用新膀胱造設術の間のいずれにも優劣をつけがたく,どちらの変向術においても比較的良好な一般的QOLが保たれていることです。本来であれば,排尿に特化したQOL評価が必要なわけですが,回腸導管と新膀胱造設術を同時に評価できる質問表がないために,差異のない結果になったものと思われます。真に回腸導管と非失禁型尿路変向術および各種非失禁型尿路変向術のQOLの違いを評価するためには,新たな排尿機能に関する質問表の開発が必要となります。著者も指摘しているように,今後,真摯な泌尿器科医により,理想的な尿路変向術・新膀胱造設術の改善に関する研究が継続することを望みたいと思います。
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