特集 泌尿器科外来ベストナビゲーション
8.そのほか
【エキノコックス】
96.多房性の囊胞性病変および北海道居住歴より,エキノコックスが疑われる患者です。対処について教えてください。
加藤 祐司
1
,
柿崎 秀宏
1
1旭川医科大学泌尿器科
pp.334-337
発行日 2008年4月5日
Published Date 2008/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101479
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1 診療の概要
エキノコックス症(echinococcosisまたはhydatidosis)は紀元前4世紀頃,ヒポクラテスの時代から人に致死的な疾患として知られていた1)。ヒトエキノコックス症の原因は世界的に分布する単包条虫(Echinococcus granulosus)と北方圏諸国を中心に分布する多包条虫(E. multilocularis)が特に重要である。世界的にみるとエキノコックス症の大部分はE. granulosusによる単包虫症であるが,本邦では土着しておらず,輸入症例が稀に問題になる。一方,E. multilocularisによる多包虫症(alveolar hydatid disease)は,本邦では北海道で問題となっている。泌尿器科領域で多包虫症が問題となることは稀であるが,今後,北海道住民だけでなく道外への移住者の発症増加が懸念されており,北海道以外の医療従事者も最低限の知識を持っておくことが肝要である。
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