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6.内分泌疾患
■性分化異常
【性機能障害】
80.精巣腫瘍に対し後腹膜リンパ節郭清を施行したのち,挙児を希望している射精障害の患者です。対処と処方について教えてください。
邵 仁哲
1
,
三木 恒治
1
1京都府立医科大学大学院医学研究科泌尿器外科学
pp.281-283
発行日 2008年4月5日
Published Date 2008/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101461
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1 診療の概要
精巣腫瘍において,化学療法を施行した後の残存腫瘍に対しては後腹膜リンパ節郭清術(RPLND)が行われてきたが,多くの症例で術後に射精障害を認め,患者のQOL低下がしばしば問題となる。術後の射精障害を予防するために,われわれは射精神経温存後腹膜リンパ節郭清術(NS-RPLND)を積極的に施行している。標準的な後腹膜リンパ節郭清術の範囲を図1に示す。
臨床病期Ⅱ・Ⅲ期の化学療法後の残存腫瘍に対して行われることが一般的であるが,切除範囲としては,上縁は腎門部,下縁は内外腸骨静脈分岐部,左右は尿管で,この部分に囲まれた後腹膜の腫瘍・脂肪・リンパ組織塊を摘除する。癒着が強固であることが多く,射精神経(腰内臓神経)を温存できない場合もあるが,若年者に多いことを考慮して,術後の射精障害を防ぐため,可能な限り射精神経を温存する。射精機能を温存するためには,腰内臓神経の左右の少なくともどちらか1本を温存し,上下腹神経叢を温存する(図2)。当科でNS-RPLNDを施行した症例では,術後の射精機能を高率(82.8%)に温存することが可能であった。過去の報告では,NS-RPLNDによる射精機能の温存率は76.5~94.6%であり1~3),当科における治療成績もこれらとほぼ同等の結果を示した。
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