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3.前立腺肥大症
【前立腺肥大症】
48.前立腺肥大症に対するα1ブロッカーの使い分けについて教えてください。また,高温度療法の位置づけについても教えてください。
嘉村 康邦
1
1四谷メディカルキューブ泌尿器科
pp.165-167
発行日 2008年4月5日
Published Date 2008/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101426
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1 診療の概要
前立腺肥大症(BPH)では,肥大腺腫の圧迫による尿道閉塞(機械的閉塞)のほか,前立腺平滑筋の交感神経α1アドレナリン受容体を介した収縮による尿道閉塞(機能的または動的閉塞)のあることはよく知られており,α1ブロッカーは臨床の現場で広く用いられている。α1ブロッカーの下部尿路症状(LUTS)に対する有効性や安全性については,すでに多くの報告があり,BPH治療の第一選択薬となっている1)。
BPHに伴う排尿障害に対して最初に保険適用が認められたα1ブロッカーはプラゾシン(ミニプレス®)であり,その後,より前立腺選択性を高めたα1ブロッカーが次々と開発され,現在わが国では6種類のα1ブロッカーが使用可能である(表1)2)。これらの薬剤はα1受容体サブタイプへの親和性が異なるため,それぞれの特徴を有すると考えられる。一方,BPHに伴うLUTSも排尿症状が強かったり,逆に蓄尿症状が主症状であったりと,症例により異なる。また長いBPH治療の過程では,LUTSの内容が変化していくこともある。したがって,個々の症例に応じた,また症状の変化に応じたα1ブロッカーの選択が臨床上必要となる。
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