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3.前立腺肥大症
【前立腺肥大症】
47.前立腺肥大症を認めない50~60歳代に多い尿の切れが悪い(排尿後陰茎をしまってからジワーと尿が出て下着を汚す)という症状に対して,α1ブロッカーを使用しても効果がありません。どのような対処が効果的でしょうか。
嘉村 康邦
1
1四谷メディカルキューブ泌尿器科
pp.162-164
発行日 2008年4月5日
Published Date 2008/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101425
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1 排尿後尿滴下とは
以前は排尿に関する症状を広義にまとめて“排尿障害”と呼んでいたが,近年泌尿器科医はこれを下部尿路症状(lower urinary tract symptom:LUTS)と呼ぶようになってきた。国際尿禁制学会(ICS)の用語委員会は,このLUTSを表1のように3つに分類している1)。すなわち,蓄尿症状(storage symptom),排尿症状(voiding symptom),排尿後症状(post micturition symptom)の3つである。
この中で,排尿後症状とは,残尿感と排尿後尿滴下(post micturition dribble:PMD)を指す。PMDとは,排尿が終わってもまだ尿道内に残っている尿(尿道内残尿)が滴下するものを指しており,これは排尿症状(voiding symptoms)に含まれる排尿終末時尿滴下(terminal dribble)とは異なるもので,厳密に区別すべきである。Terminal dribbleは明らかな排出困難を認める症例でしばしば認め,主な尿流の後で,数秒から場合によっては数分にわたり,ぽたぽたと尿が滴下するものである。つまり,一連の排尿の後半部分に含まれる排尿の一症状である。これに対しPMDは,あくまでも排尿終了後に起こる尿の滴下である。
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