特集 ここが聞きたい―泌尿器科外来における対処と処方
3.前立腺肥大症
【前立腺肥大症】
48.前立腺肥大症を認めない50~60歳代に多い尿の切れが悪い(排尿後陰茎をしまってからジワーと尿が出て下着を汚す)という症状に対してα1ブロッカーを使用しても効果がありません。どのような対処が効果的でしょうか。
斎藤 誠一
1
1東北大学医学部泌尿器科
pp.172
発行日 2005年4月5日
Published Date 2005/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413100256
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1 診療の概要
設問の症状(post-micturition dribble:PMD)は排尿終了後に少量の尿が出てくるもので,terminal dribbling(終末時尿滴下)とは異なる臨床病態であり1),下部尿路症状(LUTS)の1つである排尿後症状として分類される2)。PMDは球部尿道を取り囲む筋(球海綿体筋)の異常により,尿道内の尿を完全に空にすることができずに球部尿道に残尿が生じるためと考えられている1,3)。しかし,球部尿道内の残尿が生じた患者の球海綿体筋反射や筋電図に異常はみられなかったとする報告もある4)。BPH患者にもPMDはみられるが2),この場合BPHそれ自体が原因なのか,加齢による球海綿体筋の問題が同時に存在するためなのかは明らかにされていない。PMDに関連しうる鑑別診断として,ほかに神経因性膀胱や尿道狭窄の有無をチェックする必要がある。
治療としては,以前よりいい伝え的にurethral milking1)や骨盤底筋体操が効果的であるとされてきたが,これらの効果についての研究では,カウンセリングと比較して骨盤底筋体操が最も効果的で,次がurethral milkingであったとしている3)。
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