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2.神経因性膀胱障害と尿失禁
■尿失禁
【腹圧性尿失禁】
37.腹圧性尿失禁の患者です。タイプ分類と,それぞれの標準的治療法について教えてください。
窪田 泰江
1
,
佐々木 昌一
1
1名古屋市立大学大学院医学研究科 腎・泌尿器科学分野
pp.124-127
発行日 2008年4月5日
Published Date 2008/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101414
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1 診療の概要
腹圧性尿失禁は,重い物を持ったり,運動,咳やくしゃみなどで急に腹圧が上昇したときに尿が漏れるタイプの失禁で,通常,腹圧が加わったときのみにみられる。出産歴のある中高年の女性で罹患率が高く,多くは骨盤底支持組織の脆弱化に起因する。女性にみられる腹圧性尿失禁は,チェーン膀胱造影検査による膀胱頸部の位置と形態により,Type ⅠからType Ⅲに分類される1)(図1)。
Type Ⅱは解剖学的腹圧性尿失禁に相当し,特徴的な所見は腹圧負荷による膀胱頸部の下垂である。2cm以上の下垂または恥骨結合下縁以下への下降は,有意な所見とみなされる。Type Ⅱには安静時の膀胱頸部の位置が恥骨結合の下縁より上方にあり,怒責時に膀胱尿道脱を伴うもの(Type ⅡA)と,安静時の膀胱頸部の位置が恥骨結合の下縁より下方にあるもの(Type ⅡB)がある。正常な状態では膀胱頸部と近位部尿道は恥骨尿道靱帯によって支持されているが,尿道過可動(urethral hypermobility)を有する患者では尿道後面の支持が不十分なため,膀胱内に尿が貯留した状態で腹圧が加わると尿道が大きく移動し,尿道が押し広げられる形となり,尿失禁が発生する。このタイプの尿失禁は分娩歴の多い,中年以降の女性に多くみられる。
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