特集 泌尿器科外来ベストナビゲーション
1.尿路・性器の炎症性疾患
■性感染症
【非淋菌性尿道炎】
27.クラミジア感染症が疑われる患者です。対処と処方について教えてください。
安田 満
1
1岐阜大学大学院医学系研究科病態制御学講座泌尿器科学分野
pp.95-97
発行日 2008年4月5日
Published Date 2008/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101403
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
1 診療の概要
男性の尿道炎の多くは性感染症(sexually transmitted disease:STD)であり,淋菌の有無により淋菌性尿道炎と非淋菌性尿道炎に分類される。非淋菌性尿道炎の起炎菌としてはChlamydia trachomatisが最も知られており,これは非淋菌性尿道炎の約50%を占める。それ以外の起炎菌として,近年Mycoplasma genitaliumが認知されるようになった1)。しかしM. genitaliumも非クラミジア性非淋菌性尿道炎の約20~30%で検出されるのみである。それ以外の起炎菌については,表1に示す細菌について検討されてはいるが,いまだ結論は出ていない。
クラミジア性尿道炎を含めた非淋菌性尿道炎は,男子の性感染症の中でも頻度が高い。岐阜県では1985年より県内全医療機関を対象とした性感染症全数調査を行っている。性感染症全体としては, 2002~2004年をピークに減少しているが,1990年代よりは,多く発生している(図1)。男性の主要性感染症別の年次推移を見ると,2002年をピークに淋菌性尿道炎は減少してきているが,クラミジア性尿道炎,非淋菌性尿道炎は減少しているものの,淋菌性尿道炎と比べるとその減少幅は小さい。また,全体の発生数と同様に,1990年代と比べるとまだ高い発生率である。
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.