特集 泌尿器科外来ベストナビゲーション
1.尿路・性器の炎症性疾患
■非特異性感染症
【閉塞性乾燥性(硬化性)亀頭炎】
14.短期間に包皮が肥厚し亀頭を露出できなくなった70歳の患者です。閉塞性乾燥性(硬化性)亀頭炎と診断しました。対処と処方について教えてください。
高橋 剛
1
1聖マリアンナ医科大学泌尿器科
pp.55-57
発行日 2008年4月5日
Published Date 2008/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101390
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1 診療の概要
閉塞性乾燥性(硬化性)亀頭炎(balanitis xerotica obliterans:以下BXO)は包皮,包皮口,亀頭,外尿道口にみられる皮膚の蠟様白色,硬化性病変である(図1)。高度となると独特な閉塞病変を示し,包皮口,外尿道口に狭窄をきたし排尿障害を起こすので問題となる。病態は慢性炎症性角化症である硬化性苔癬(lichen sclerosus)である。組織学的には表皮の角質増殖と萎縮化,真皮基底層の液状変性,さらに真皮上層の浮腫と均質化がみられる。初期には亀頭や包皮に白色斑が出現し,かゆみや灼熱感を伴う。次第に包皮,外尿道口に及んで白色硬化の変化が起こり,光沢を有する平滑菲薄な皮膚となり,亀頭と包皮は癒着し翻転できなくなる。さらに病変は前部尿道,陰囊にまで及ぶこともある。
原因としては,(1)遺伝的要因,(2)自己免疫の関与,(3)ホルモンの影響,(4)感染症,などが挙げられている。(3)のホルモンに関しては,小児例で思春期に改善がみられることから,男性ホルモンの作用低下が原因ではないかと考えられている。(4)についてはライム病の原因であるボレリアによる慢性炎症の関与が疑われている。いずれにしても,今のところ原因は不明である。
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