特集 ここが聞きたい―泌尿器科外来における対処と処方
1.尿路・性器の炎症性疾患
■非特異性感染症
【閉塞性乾燥性(硬化性)亀頭炎】
15.短期間に包皮が肥厚し亀頭を露出できなくなった70歳の患者です。閉塞性乾燥性(硬化性)亀頭炎と診断しました。対処と処方について教えて下さい。
佐々木 春明
1
,
島田 誠
1
1昭和大学横浜市北部病院泌尿器科
pp.58-59
発行日 2005年4月5日
Published Date 2005/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413100223
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1 診療の概要
閉塞性乾燥性亀頭炎(balanitis xerotica obliterans)は,1928年にStuhmer1)により提唱された慢性進行性の陰茎亀頭,包皮,尿道の硬化性,萎縮性炎症を主体とする疾患で,硬化性萎縮性苔癬(lichen sclerosus et atrophicus:LSA)の部分型と考えられている。
硬化性萎縮性苔癬は中高年女性外陰部皮膚に好発する慢性硬化性萎縮性病変であり,その臨床症状は,米粒~爪甲大,白色,扁平にわずかに隆起性の,やや硬い丘疹が多発し,しばしば融合して象牙色の局面を形成する。のちに表面が萎縮して羊皮状となり,毛孔性角栓が目立つようになる。ときに蚤痒・疼痛・不感症を伴う。女子外陰部を侵すことが多いが,項頸,上背,上腕,陰茎亀頭,肛囲にも生ずる。硬化性萎縮性苔癬の病理組織学的所見は,(1)角質の増生と角栓形成,(2)表皮萎縮と液状変性,(3)真皮上層の著明な浮腫と膠原線維の均質化,(4)真皮中層のリンパ球性帯状細胞浸潤,が特徴である。また,予後は外陰部発生の数%が有棘細胞癌化するとされる。
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