特集 ここが聞きたい―泌尿器科処置・手術とトラブル対処法
Ⅱ.泌尿器科手術
D.開腹手術
■尿路変向術
【尿管S状結腸吻合術】
86.尿管S状結腸吻合術を施行した患者です。術後,高クロール性アシドーシスを起こしてしまいました。どのように対処すればよいでしょうか。
岡田 弘
1
,
武藤 智
1
,
堀江 重郎
1
1帝京大学医学部泌尿器科
pp.258-259
発行日 2007年4月5日
Published Date 2007/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101163
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膀胱全摘出術後に,尿禁制が保たれた尿路再建(変向)法として,禁制メカニズムのある尿道括約筋ないしは肛門括約筋を利用する方法がさまざまに工夫されてきた。前者に属するものが,腸管を利用しパウチを形成し,これに尿管を吻合する自然排尿型新膀胱造設術であり,後者に属するものが尿管S状結腸吻合術である。最初の報告は1852年にSimonが膀胱外反症の患者に尿管と直腸間に瘻孔形成したものであり,この後,膀胱が利用できない患者での尿路再建(変向)法として多くの報告がなされている1)。
新膀胱では尿と便が混ざり合うことはないが,尿管S状結腸吻合では尿と便が混ざり合った状態が常に生じていることになる。この特殊な状態から,以下のようなリスクが報告されている。
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