特集 ここが聞きたい―泌尿器科処置・手術とトラブル対処法
Ⅱ.泌尿器科手術
D.開腹手術
■尿路変向術
【自己導尿型代用膀胱造設術(CUR)】
87.自排尿型膀胱を作製した患者です。周囲のドレーンから尿が出てきて,縫合不全が考えられます。どのように対処すればよいでしょうか。
岡田 弘
1
,
武藤 智
1
,
堀江 重郎
1
1帝京大学医学部泌尿器科
pp.260-261
発行日 2007年4月5日
Published Date 2007/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101164
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膀胱全摘除術を受けた患者の術後QOL(quality of life)の向上を目指して,本邦でも1980年代後半から本来の尿道を通して排尿可能になる自排尿型新膀胱造設が行われている。この自排尿型新膀胱(neobladder)に用いられる腸管の種類には,回腸(ileal neobladder),回腸と上行結腸(ileocolonic neobladder),右半結腸(colonic neobladder),S状結腸(sigmoid neobladder)があり,それぞれに排尿効率,尿禁制率,新膀胱尿管逆流率などに特徴がある。それぞれの術式で共通しているのは,脱管腔化した腸管で尿を溜めるパウチ(新膀胱)を作製し,これに尿管を吻合し,さらにパウチと尿道断端を吻合する点である1~4)。いずれも以下の3か所が潜在的に,術後縫合不全から尿路外への尿の漏出をきたす可能性がある。すなわち,(1)パウチ(新膀胱)の縫合部,(2)尿管新膀胱吻合部,(3)尿道新膀胱吻合部,である。
本稿では,現在最も多く作製されている回腸利用自排尿型新膀胱であるStuder法による新膀胱2)を例に取り,縫合不全による尿路外への尿の漏出に対する処置を概説する。
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