Japanese
English
--------------------
尿管S状結腸吻合術及び全膀胱剔除術施行症例
Cases of Uretero-Sygmoidostomy and Total-Cystectomy
薄場 元
1
,
登米 正
1
,
舟生 富壽
1
Gen USUBA
1
,
Tadashi TOYOME
1
,
Tomihisa HUNEYU
1
1東北大學醫學部武藤外科
1Department of Surgery, Faculty of Medicine, Tohoku University
pp.309-310
発行日 1952年6月20日
Published Date 1952/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201044
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
膀胱の全剔除術そのものは,外科側からは難かしい手技ではないが,本手術に必然的に起る尿路の処置は難問題であつた.尿路の処理の方法としては 1)創面内放置,2)尿道吻合術,3)膣吻合術,4)皮膚移植術,5)脳瘻形成術,6)腸吻合術等が行われた.此の中には原始的な方法で近代外科からは問題にならぬものもあるが,然し多数の先人の苦心の跡は充分窺われる.即ち尿管皮膚移植術或は腎瘻形成術は死亡率が最も低いが,体表に尿が流出する欠点がある.尿管腸吻合術,殊に尿管S状結腸吻合術は尿失禁を残さぬ点で最も優れているが,残念乍ら不成功例が少くなかつた.本法の危険性は術直後の縫合不全と遠隔成績に於ける吻合部の狭窄と腸内容の尿管内逆流による尿路上行感染である.
然し此の問題もMayo,Hendrichus及びCoffey等の方法の出現によつて解決した.我國に於ても杉村名誉教授は20年前に矢吹博士をして動物実驗1)により此の問題を解決せしめた許でなく,実際に尿管腸移植の臨床例を発表されている2).現在の化学療法を併用し,之等の術式に依つて移植すると,不成功例は絶無と云っても過言でないので,術式は既に20年前に完成されていたと考えられる.当時之等の術式が広く普及されていなかつたのは,不成功例もあつた爲と考えられるが,之は術式の罪ではなく,化学療法が発達しなかつた爲と思われる.
Copyright © 1952, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.