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体外衝撃波砕石術(ESWL)術後の腎被膜下血腫の頻度は,平井ら1)がまとめた結果では0.078%~0.6%とされているが,Blangyら2)は放射線科医としての検索では12.5%にも上ると報告しており,実際には相当な割合で発症している可能性も否定はできない。筆者らもこれまでに3例のESWL術後腎被膜下血腫を経験しているが,自身でのESWL経験数からすると,実際には隠れた腎被膜下血腫症例があったのかもしれない。これら3例はESWL術後に際立った疼痛の訴えもなく,そのうち2例は術中超音波で監視していた症例であるが,残念ながら術中に血腫の発症には気づかなかった。たまたま3例ともに腎内のX線陰性結石であったため,術後F/U中にCTを実施した際に気づいたものである。2例は初回ESWLで,1例は2回目のESWLにて腎被膜下血腫が発症しているが,運よく3例とも結石破砕自体はその責任ESWLにより終了していた。
もしまだ破砕しきれていない結石が腎内にあった場合にどうするかであるが,筆者らにはその経験はないが,自身の考えでは再度のESWLは慎重にならざるをえない。筆者らの症例では,腎被膜下血腫が自然吸収されたあとの患側腎は萎縮腎となった(図1)。機能自体が相当低下するため,もしも再度出血を起こした場合には機能は廃絶する可能性が高くなる。しかし,Serraら3)は10,953症例に対し21,699回のESWLを施行し,うち31例に腎出血を起こし(0.28%),残石があった7例に対し再度ESWLを施行したが問題はなかったと報告している。このような報告はあるが,せいぜい血腫が自然吸収されたあとの,時間が経過した段階で判断される事柄であろう。
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