増刊号特集 泌尿器科手術における合併症管理のすべて
Ⅱ.術式別にみた術中・術後合併症の管理
C.体外衝撃波砕石術
体外衝撃波砕石術—尿管結石
荒川 孝
1
,
久保 星一
1
,
馬場 志郎
2
Takashi Arakawa
1
1相模台病院尿路結石破砕治療センター
2北里大学医学部泌尿器科
pp.86-91
発行日 2001年3月30日
Published Date 2001/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413903191
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1 はじめに
一般的に,「ESWL(体外衝撃波結石破砕術)は尿路結石症に対する外科的治療の第一選択肢であり,合併症の割合はきわめて低く,minimally invasiveな治療法」として理解されている。この文言に慣れ,実際のESWLにおいても重篤な合併症を経験することなく症例を重ねてくると,臨床的な有効性ばかりが前面に出てしまい,lithotripter導入当初に各泌尿器科医が持っていた緊張感が薄れ,合併症への配慮がなされなくなりがちである。しかし,何事も起こらず結石が破砕され,そして排石される症例ばかりではなく,油断しているときにこそ思いがけない重篤な合併症が起こることもある。腎結石でのESWLによる合併症は,術中・術後早期での不整脈,腎被膜下血腫,肺損傷,肝損傷,術後晩期での高血圧,腎機能低下などが思い浮かぶであろう。
本稿では,尿管結石に対するESWLに限定した合併症について述べることが課題であるが,総論的にESWLの合併症を述べた文献はあっても,尿管結石に対するESWLでの合併症として,これを分けて特別に記載する報告はこれまでにない。ごく稀な合併症としていくつかの1例報告があるにすぎないが,その内容にはきわめて重篤なものもあるので,起こりうる臨床的な合併症を列挙するとともに,それら重篤例を紹介しつつ,筆者自身を含めたESWLを日常施行する泌尿器科医諸兄に改めて注意を促したい。
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