特集 ここが聞きたい―泌尿器科処置・手術とトラブル対処法
Ⅰ.泌尿器科処置
【カテーテル留置(尿道留置)】
17.長期間,尿道カテーテルを留置している脊髄損傷の男性患者です。振子部尿道に長い尿道皮膚瘻が発生してしまいました。どのように対処すればよいでしょうか。
山口 聡
1
,
小山内 裕昭
1
1北海道社会事業協会富良野病院泌尿器科,尿路結石治療センター
pp.60-62
発行日 2007年4月5日
Published Date 2007/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101093
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長期間,尿道カテーテルを留置されている患者では,その尿路合併症として,振子部尿道~球部尿道に尿道皮膚瘻を形成することがときどき認められる。尿道皮膚瘻が発生する機序として,(1)尿道留置カテーテル周囲の慢性的な炎症の持続,(2)カテーテル抜去や挿入に伴う尿道粘膜への機械的な損傷,などが主なものと考えられる。実際には,これらが長い間,繰り返されることにより,損傷距離の長い,難治性の尿道皮膚瘻が形成されていくと思われる。
このような状況のほとんどは,種々の脊髄疾患や脳血管障害などの慢性疾患を管理するリハビリテーション施設や老人保健施設において認められ,肉眼的に明らかな尿道皮膚瘻が確認されてから,泌尿器科に相談に訪れることが多い。なかには相当こじれてしまった例も稀ではなく,泌尿器科医師にとってその取り扱いに迷うことも少なくない。そのような患者は,通常,長期臥床を余儀なくされており,それまでに専門医の診察を受けていないことで,情報不足に陥っている。また,最も現実的な問題としては,病院への搬送が困難であることや受け入れ先病院の体制不備など,医療行為以外のネガティブな背景の存在も否定できない。
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