特集 ここが聞きたい―泌尿器科処置・手術とトラブル対処法
Ⅰ.泌尿器科処置
【カテーテル留置(尿道留置)】
15.尿道カテーテルを留置した患者です。カテーテルを留置後に短期間で閉塞を起こしてしまいました。どのように対処すればよいでしょうか。
滋野 和志
1
1島根大学医学部泌尿器科
pp.55-57
発行日 2007年4月5日
Published Date 2007/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101091
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
尿道カテーテル留置には,術後などに短期間留置する場合と排尿障害の改善が見込めないときなどに長期の留置が必要な場合がある。短期間留置の場合,閉塞の原因は血尿に伴う血塊など明らかな場合が多く,洗浄や交換が可能であれば対処は比較的容易である。問題となるのは長期間の留置が必要な例において,頻回に短期間で閉塞する場合である。カテーテルを長期間留置している場合の閉塞は,剝離・脱落した尿路粘膜上皮,結晶,結石などによりカテーテル先端開口部や内腔が閉塞することによるものである。重要な原因として尿路感染症が挙げられるが,長期カテーテル留置中の尿路感染症は避けることが不可能である1)。さらに,カテーテル留置例では付着した細菌が菌体外多糖を産生することで強固に定着し増殖を続け,多糖体を中心とするポリマーで包まれた細菌バイオフィルムを形成する。形成されたバイオフィルムは付着,定着の役割だけでなく,抗菌薬に抵抗性で,宿主の貪食作用から逃れ,非常に難治性である2)。このバイオフィルム感染症がカテーテルの閉塞や結石形成の大きな原因である3)。
カテーテルの閉塞に対する対処法は,直接的にはカテーテルの洗浄,交換であるが,閉塞の原因となる壊死組織や結晶成分などを排出されやすくし,カテーテルへの付着を予防することが重要である。
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.