特集 ここが聞きたい―泌尿器科処置・手術とトラブル対処法
Ⅰ.泌尿器科処置
【陰囊水腫穿刺】
7.陰囊水腫に対して穿刺排液処置を長期間繰り返してきた患者です。今回,穿刺排液中に血が混じり始め,血液の色が徐々に強くなってきました。どのように対処すればよいでしょうか。
野口 満
1
1長崎大学医学部泌尿器科
pp.36-37
発行日 2007年4月5日
Published Date 2007/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101083
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小児を除き,陰囊水腫の患者では穿刺排液処置を行うことがある。患者にもよるが,穿刺排液を行って数か月もするとまた同様な水腫の状態となり,再度穿刺を繰り返すことが多い。根治手術を行うか,穿刺排液後に塩酸ミノサイクリンなどの薬液注入による固定術など再発予防を行わない限り,水腫の穿刺は続くこととなる。
このような経過中に,穿刺した排液が血性になることがある。原因は以下のような機序が考えられる。すなわち,(1)穿刺を繰り返すことにより反応性に精巣固有鞘膜の肥厚が生じ,そこに慢性炎症を伴うと穿刺後に肥厚した精巣固有鞘膜より出血が起こる,(2)穿刺により陰囊皮膚に付着している細菌が陰囊内に入り感染を起こしたため,(3)設問(6)で述べた陰囊内血腫が沈静化したのち,精巣固有鞘膜の線維化や肉芽形成を起こし,この部位から出血したため,(4)穿刺とは関係なく,精巣腫瘍や結核などが新たに発生したことに伴うもの,などが考えられる。
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