特集 ここが聞きたい―泌尿器科処置・手術とトラブル対処法
Ⅰ.泌尿器科処置
【陰囊水腫穿刺】
6.陰囊水腫穿刺を18ゲージ針で行った患者です。施行中,出血は認めませんでしたが,翌日,再受診したところ陰囊内血腫となっていました。どのように対処すればよいでしょうか。
野口 満
1
1長崎大学医学部泌尿器科
pp.32-34
発行日 2007年4月5日
Published Date 2007/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101082
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陰囊水腫穿刺後の急速な陰囊内血腫出現の場合には,ほとんどが穿刺側の陰囊腫大と疼痛を認める。高度の場合は鼠径部までにその血腫は及ぶこともある。陰囊皮膚は暗赤色に変色していることもあり,ほとんどが前日に穿刺の既往があることと視診から陰囊内血腫の診断は容易につく。
原因は,穿刺針による陰囊皮膚・皮下の血管損傷あるいは陰囊内容物(精巣,精巣上体,精索)の損傷が考えられる。稀に患者に出血傾向や凝固系異常があり,穿刺後,徐々に陰囊内血腫が形成されることもあり,患者の血液疾患が原因のこともある。しかしながら,血腫増大の原因の多くは,(1)もともと陰囊自体が穿刺後の圧迫止血を行いにくいこと,(2)陰囊皮膚が伸展性に富むこと,(3)精巣を包む鞘膜腔内への出血であれば,貯留していた漿液と合わさることによりさらに出血量が増加すること,などが考えられる。
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