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本年3月12日から15日にかけて,スペインの首都マドリッドにおいて第18回ヨーロッパ泌尿器科学会(EAU)が開催されました。まだ肌寒くコートの手放せない成田空港を出発し,パリを経て到着したマドリッドは東京よりも2回りも大きな太陽が眩しく,初夏のような週末でした。御存知のように参加者数約9,000人を誇るEAUは,AUAに次いで世界で最もmajorな泌尿器科学会ですが,私個人にとりましては全くの未知の世界でした。私がEAUに興味をもったのは,昨年,論文をEuropean Urologyに投稿してからで,以来,学会から発行される刊行物に目を通すようになり,年末には夏季休暇(?)を利用してEuropean School of UrologyのWinter Escape Meetingにも出席いたしました。日本泌尿器科学会から取り寄せたcertificateとともに必要書類を書き添えて,EAUのmembershipを頂戴したのは学会の間際でした。Winter Escape Meetingが開催されたスペイン領のテネリフェはモロッコ沖大西洋に浮かぶ島々で,12月にもかかわらず温暖な気候の保養地です。学会はSchool of Urologyですので,文字どおり泌尿器科の講議が中心で,参加者も100人に満たないhomyなものでした。講議は9つのSessionからなり,泌尿器科疾患すべてが網羅されておりました。講師の先生も10名程度で,代わる代わる大変丁寧に,時にエネルギッシュに御指導を頂き,久方振りに生徒として泌尿器科学を習学することができました。後に気づいたことですが,これらの講師の先生方の中に,EAUのSecretary GeneralであられるDr. Frans M. J. Debruyneや日本泌尿器科学会総会のため来日されたDr. Christopher R. Chappleのお姿を見ることができました。この他にも世界的に高名な先生方から直にhand-madeの授業を受けることができ,瞬く間の5日間でした。
EAUのacceptの通知が届いたのはテネリフェから帰国後10日ほどが経ってからでした。今回のSubmissionはすべてon-lineでAbstractに加えて,図表まで添付することができ,また,合否は3名のExpertの先生の投票により決定されました。Paperの採択率は30%と公表されておりましたが,取り消し演題も散見され,ポスターの中には結論に至っていないものもあり,AUAほど厳しくない印象を受けました。学術大会と展示はマドリッド市郊外,北東に位置するParque Ferial Juan Carlos I(IFEMA)で行われました。IFEMAは中に競技場を有するような巨大催し物会場で,国際空港から,あるいはダウンタウンからも地下鉄を利用してアクセスできますが,地下鉄駅に近い南口から,学会が行われる北口まではバスに乗らねばならず,さらに周辺に宿泊施設がないため,結局,市街地のホテルに宿泊せざるを得ず,多少不便を感じました。ヨーロッパの春はサッカー一色で,学会会場でも必ず話題にのぼります。来年EAUを主催するトルコからの先生が昨年のワールドカップについて熱弁をふるってくれましたが,日本人としては多少複雑な心境で耳を傾けておりました。
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