特集 前立腺疾患のすべて
Ⅲ 前立腺癌
前立腺癌の発癌機構
三好 康秀
1
,
窪田 吉信
1
Yasuhide Miyoshi
1
,
Yoshinobu Kubota
1
1横浜市立大学医学部泌尿器科
pp.157-161
発行日 2003年4月5日
Published Date 2003/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413100846
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1 はじめに
前立腺癌の発生について多くの遺伝子異常の関与が解明されつつあるが,前立腺癌の発生の第一歩となる特異的な遺伝子については明らかになっていない。前立腺癌の発生においては多くの因子,遺伝子の異常が多段階で関与していることが予想される。前立腺癌は特徴として癌としての共通した性質のほかに男性ホルモン依存性という前立腺固有の性質を保持しているため,前立腺癌の発生には癌遺伝子,癌抑制遺伝子のほかにアンドロゲンやアンドロゲン関連遺伝子の異常が関与していると考えられる。また,病理組織学的に前立腺癌の前癌病変high-grade PIN(prostatic intraepithelial neoplasia)のさらに前段階の病変としてPIA(proliferative inflammatory atrophy)が提唱されている。本稿では前立腺癌発生への関与が示唆される因子,遺伝子異常について述べる。
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