特集 前立腺疾患のすべて
Ⅱ 前立腺肥大症
病因解明の進歩―解剖・生理の進歩(αレセプターの分布)
荒木 勇雄
1
,
古谷 泰久
1
,
小室 三津夫
1
,
滝花 義男
1
,
武田 正之
1
Isao Araki
1
,
Yasuhisa Furuya
1
,
Mitsuo Komuro
1
,
Yoshio Takihana
1
,
Masayuki Takeda
1
1山梨大学医学部泌尿器科
pp.36-41
発行日 2003年4月5日
Published Date 2003/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413100823
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1 はじめに
前立腺肥大症(BPH)における閉塞症状の発症機序は,機械的閉塞と機能的閉塞の2種類であり,後者は交感神経系α受容体を介していると考えられている1)。確かに,交感神経系α受容体遮断薬(αブロッカー)はBPH患者の下部尿路症状の改善に有効であるが,必ずしもすべての症状の改善をもたらすわけではないし,前立腺摘除術を受けた患者のなかで蓄尿障害症状の改善しないものもみられる2,3)。このような症状は,閉塞によって二次的に生ずる膀胱平滑筋の障害(肥大,除神経),知覚情報の中枢での伝達障害,および求心性・遠心性神経の活性の変化などから起こると考えられている3)。中枢神経系のなかでも,脊髄におけるα受容体は排尿調節に重要な役割を果たしているとされる。本稿では,前立腺肥大症におけるα受容体の役割と,BPH治療における前立腺以外のα受容体の役割についても述べる。
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