小さな工夫
カテーテル留置中の肉眼的血尿の評価・表現方法
作間 俊治
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1国家公務員共済組合連合会新小倉病院泌尿器科
pp.178-179
発行日 2003年2月20日
Published Date 2003/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413100799
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経尿道的前立腺切除術術後など血尿の持続する病態においては,血尿の程度が重要な観察項目の一つである。血尿が高度の場合カテーテル閉塞の危険性が増し,持続膀胱洗浄中であれば還流液のスピードを上げる必要が生じる。術後の患者の観察は尿の性状も含めて看護婦(看護師)に委ねられることが多く,医師と看護婦を含むスタッフ間で統一した基準が必要である。血尿の程度の判断や表現には,“淡血性”,“鮮血尿”,“トマト色”,“紅茶色”などと言葉で表現する方法と,いろいろな濃度の偽血尿を写真に撮って基準表をつくりスケール化して表現する方法がある1,2)。
当院では従来言葉での表現を行っていたが統一性に劣ると考え,このたび簡易な血尿評価スケールを作成した(図1)。つまり,Microsoft Wordの文字形態MSゴシックでローマ数字Ⅱを10.5,18,36,72ポイントの大きさで白い紙に黒字で印刷し,蓄尿袋への接続管の下において,Ⅱの二本の線の隙間が血尿で見えなくなるかどうかで1度から5度と表現することにした。血尿が高度になると透明度がなくなり小さい字は見えなくなることを利用したものである(図2)。これは従来の色調を重視した血尿基準表とは異なり,透過性を重視したものである。なお当院で使用しているBARD社ウロバック蓄尿袋の管においては,10.5ポイントのⅡが透けて見える血尿1度では100mlあたり0.6ml以下の血液混入量で,72ポイントのⅡの隙間が透けて見えない血尿5度では100mlあたり4ml以上の血液混入量である。
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