画像診断
膀胱粘膜下腫瘍として認められた前立腺貯留性囊胞
金子 智之
1,2
,
杉本 雅幸
1
1東京都職員共済組合青山病院泌尿器科
2東芝病院泌尿器科
キーワード:
前立腺囊胞
,
膀胱粘膜下腫瘍
Keyword:
前立腺囊胞
,
膀胱粘膜下腫瘍
pp.847-849
発行日 2006年10月20日
Published Date 2006/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413100751
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患 者 59歳,男性。
家族歴・既往歴 特記すべきことなし。
現病歴 2006年1月発熱と頻尿を主訴に近医受診した。急性前立腺炎と診断され抗生物質投与にて軽快したが,腹部超音波検査にて膀胱腫瘍が疑われたため,同年2月22日当科を受診した。
画像所見 軟性膀胱鏡では膀胱頸部12時方向に膀胱内に突出する表面平滑な粘膜下腫瘍を認めた(図1)。MRIでは同部位にT1強調像,T2強調像ともに内腔が高信号を呈する多房性病変を認め,前立腺由来の囊胞性疾患と考えられた(図2A,B,C)。
臨床経過 2006年3月8日経尿道的切除術を施行した。腫瘍の切除を行ったところ,囊胞内腔が開放され,灰白色の液体の流出がみられた(図3)。病理組織検査では,囊胞壁に移行上皮に被覆された膀胱壁とともに,拡張した前立腺腺管が認められた。悪性所見は認められなかったため,前立腺貯留性囊胞と診断した。術後経過に問題を認めなかった。初診時のPSAは1.062ng/mlであったため前立腺生検は行わず,外来にて経過観察中である。
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