学会印象記
第93回日本泌尿器科学会総会印象記―自らの進むべき方向を探りながら
井口 太郎
1
1大阪市立総合医療センター泌尿器科
pp.610-611
発行日 2005年7月20日
Published Date 2005/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413100365
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4月13日から16日まで東京の台場で開催された第93回日本泌尿器科学会総会に参加してきました。久しぶりの東京ということもあり,また,時間に追われた普段の生活から数日ですが解放されたためか,足取りも軽く会場となる台場に向かいました。台場という土地柄か,それとも気分が良いためか,通勤電車に乗っている女性も大阪に比べてきれいな人が多いなあと感じていました。また,東京テレポート駅からの並木道は葉桜の緑がとても気持ちよく,このまま散歩していたいという衝動を抑えつつ会場入りしました。
今回の総会のテーマは“安全で,温かな,テーラーメードの医療を目指して”ということで,学術面だけではなく,患者や社会に対しどのように向き合っていくかというコンセプトのもと開催されました。その一環として,田中康夫氏(泌尿器科患者兼長野県知事)による「智性・勘性・温性に基づくサーヴィス」についての講演も行われ,楽しく拝聴させていただきました。講演は超満員で,皆が田中氏の巧みな話術の虜になっているようでした。「智性・勘性・温性」とは田中氏の造語ですが,「智性」とは知識と経験の両方を,「勘性」とは知識と経験に基づく創意工夫を,そして「温性」とは相手と同じ目線に立って対応する姿勢を指し,これらはこのまま医学の世界にも必要なものであると思います。また,様々な話題のなかでも教育問題の重要性を強調されていました。田中氏の今までの主要な演説は長野県公式HP(http://www.pref.nagano.jp/)や,「しなやかな信州をはぐくむ会」のHP(http://www.yassy.net/)に収録されています。興味のある方はぜひ一度ご覧下さい。
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