異論・反論 泌尿器科術前・術後管理
5.手術後の抗菌薬(抗生物質)投与は必要か
山口 誓司
1
Seiji Yamaguchi
1
1市立池田病院泌尿器科
pp.310-312
発行日 2005年4月20日
Published Date 2005/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413100319
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1 はじめに
筆者が研修医の頃,泌尿器科の手術後の予防抗菌薬としては一般的に第三世代のセファロスポリン系抗生物質が当然のように使われている時代であった。しかもその薬は手術後帰室してから「1日2回,7日間の投与」と先輩の先生から教わり,新しい抗菌薬が市販されるたびに常に新しいものを試していた記憶がある。しかしながら,このような使用方法がMRSAなどの耐性菌の発生を生むことになり,多くの耐性菌による強烈なしっぺ返しを受けている。各科領域で耐性菌による重症感染症を経験するようになり抗菌薬に対しての関心が高まったことにより,MRSAを発生させないようにと術後の予防抗菌薬の種類が見直されるようになり,また術後の予防投与法が見直されるようになった。外科領域では多くの報告がみられるようになり,1999年にはCDCからガイドライン1)が報告され,本邦でも「抗菌薬の使用の手引き」2)が作成された。泌尿器科領域ではやや遅れて,2001年にEAUのガイドライン3)の報告があり,本邦でもようやくこの問題に対しての取り組みがなされるようになってきた4,5)。
本稿では,外科領域での報告2,6,7)を参考に,泌尿器科での術後の感染予防薬としての抗菌薬の使用法について考えてみたい。
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