特集 ここが聞きたい―泌尿器科外来における対処と処方
8.そのほか
【ナットクラッカー現象】
94.外来で行うことのできるナットクラッカー現象のスクリーニング法について教えて下さい。
橋本 博
1
1旭川医科大学泌尿器科
pp.338-340
発行日 2005年4月5日
Published Date 2005/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413100302
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1 診療の概要
ナットクラッカー現象とは,左腎静脈が大動脈と上腸間膜動脈との間で圧迫され,左腎静脈圧が上昇し,その結果,左腎出血をきたす現象である。ちょうど「クルミ割」がクルミを潰す様に似ていることからこの名称がある。血尿以外の症状として,左腎うっ血による左側腹痛,副腎静脈・性腺静脈や尿管静脈へ血液が逆流し生ずるこれら静脈の拡張,その結果としての尿管の圧迫,精索静脈瘤,骨盤内静脈うっ滞による諸症状などがある。思春期から30~40歳代の比較的若年者に多いが,高齢者での報告もある1)。明らかな性差は指摘されていない。
病因は必ずしも明らかではないが,MRIや造影CTの観察から,上腸間膜動脈が大動脈から分岐する角度の異常によると考えられている1,2)。通常では上腸間膜動脈はほぼ直角に大動脈から分岐し,4~5mmそのまま腹側へ走行したあとに尾側へ向かい始めるが,ナットクラッカー現象を示している症例では鋭角に分岐し,起始部からすでに尾側へと向かっているという。そのため,大動脈との間隙が狭くなり,そこに走行する左腎静脈を圧迫することになる。
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