走査電顕の目・14
尿沈渣—結核菌
木下 英親
1
,
田崎 寛
1
1慶大泌尿器科
pp.225-226
発行日 1974年2月15日
Published Date 1974/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908448
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腎・膀胱結核も,肺結核と同様,化学療法の出現以来発生頻度は減少してきているが,近年にいたりその減少速度の緩慢化が指摘され,最多発年齢の高年齢化,発生年齢の分散化などが一般的傾向となっている.臨床症状としては,膀胱炎症状が初発症状として最も多いが,腎部腫瘤,側腹痛,腰痛の腎症状や,発熱などの不定症状も多くなり,無症候性血尿を主訴とするものもまた,化学療法時代にはいって増加しているとの報告がある.
このように,腎・膀胱結核の疫学像,臨床像が変化して,診断がむずかしくなってきているが,尿中結核菌の証明と,静脈性腎盂撮影,逆行性腎盂撮影などによる腎盂像,膀胱鏡検査による膀胱粘膜の所見が,腎・膀胱結核の診断法であることにかわりはなく,これらにより,治療方針が決定され,臨床経過の観察が行なわれている.
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