今月の臨床 ここが聞きたい 産婦人科外来における対処と処方
IV. 感染症
[膀胱炎]
77.間質性膀胱炎の鑑別診断と処方について教えて下さい.
堀内 和孝
1
1日本医科大学泌尿器科
pp.572-573
発行日 2003年4月10日
Published Date 2003/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101018
- 有料閲覧
- 文献概要
1 診療の概説
間質性膀胱炎は,頻尿,尿意切迫感,膀胱充満時の恥骨上部の圧迫感または疼痛を主症状とする“有痛性膀胱症候群(painful bladder syndrome)”に含まれる病態1)である.女性の場合,月経周期で症状が変化することがあり,性交時の痛みもしばしば経験される.欧米人の中年女性に多く2),日本人には少ない疾患とされてきたが,最近の調査上3)により,本邦でも特殊な病態ではないことが判明した.膀胱炎症状を主訴とする中年女性を診察するうえで常に念頭に置くべき疾患である.
病因として,膠原病や自己免疫疾患などの炎症説,膀胱上皮細胞間の結合弛緩説,内分泌説,血管およびリンパ管の閉塞説,感染説などが唱えられているが,未だに真の病因は不明である.特異的な病理組織学的所見として,膀胱粘膜透過性の亢進と膀胱間質の肥満細胞浸潤4~6)を認める.
理学的所見として特異的なものはないが,膀胱部の圧痛,腟内診による膀胱底部,上側方円蓋部,尿道側方に沿った疼痛を認め,膀胱容量は60 ml以下のことが多い.尿中に白血球を認めるが,尿培養,尿細胞診は陰性である.一般的に,非充満時の膀胱鏡所見は正常で,Hunner潰瘍と呼ばれる出血性潰瘍を認める頻度は高くない.麻酔下において,80~100 cm水中圧で膀胱を350 ml以上に1~2分間拡張すると,glomerulationと呼ばれる斑点状の出血を頂部,後壁,側壁に認めることがある.しかし,glomerulationは間質性膀胱炎に特異的な所見ではなく,放射線療法後や化学療法後などでもみられる.
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.