今月の臨床 ここが聞きたい 産婦人科外来における対処と処方
I. 周産期
[乳児の皮膚疾患]
9.おむつかぶれの鑑別診断と処方について教えて下さい.
長塚 正晃
1
,
岡井 崇
1
1昭和大学医学部産婦人科
pp.386-387
発行日 2003年4月10日
Published Date 2003/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100950
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1 診療の概説
乳児のおむつ部には,尿,糞便,残存する石鹸,洗剤,アンモニアなどの刺激による一次性刺激性皮膚炎,種々のアレルゲンによる接触性皮膚炎,微生物感染による感染性皮膚炎などが起きる.最近では,良質の紙おむつの普及により患者数は激減した.
1. 発生機序・原因
一次性刺激性皮膚炎,特にアンモニアを原因とするものはおむつ皮膚炎(おむつかぶれ)と呼ばれ,いくつかの要因が複合し生じてくるとされる.
汚れたおむつを長時間取り替えないと,便中の細菌が尿中の尿素を分解し,アンモニアを生じ,炎症を起こす.アンモニアは皮膚をアルカリ性にし,便中の蛋白分解酵素,脂肪分解酵素の作用を強める.おむつの通気性の悪さはその内部の温度・湿度を高め,皮膚がふやけた状態となり,角質の水分含有量の増加をきたす.これにより皮膚のバリアーとしての機能は低下する.また乳児は活発に運動するため,肌触りの悪いおむつは摩擦で皮膚を傷つけ,皮膚炎を増強させる因子となる.
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