Japanese
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綜説
再燃前立腺癌におけるドセタキセル療法の現状と展望
Current status and future prospect of docetaxel in hormone refractory prostate cancer in Japan
島居 徹
1
,
赤座 英之
1
Toru Shimazui
1
,
Hideyuki Akaza
1
1筑波大学大学院人間総合科学研究科臨床医学系泌尿器科
1Department of Urology,Institute of Clinical Medicine,Graduate School of Comprehensive Human Sciences,University of Tsukuba
キーワード:
再燃前立腺癌
,
ドセタキセル
,
ホルモン抵抗性
Keyword:
再燃前立腺癌
,
ドセタキセル
,
ホルモン抵抗性
pp.177-187
発行日 2006年3月20日
Published Date 2006/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413100032
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要旨 ホルモン療法抵抗性の前立腺癌の治療戦略は限られており,特に化学療法剤に関しては従来有効性が乏しいと考えられてきた。しかし,近年,再燃前立腺癌に対するタキサン系薬剤を用いた治療の良好な成績が報告されている。タキサン系薬剤はヨーロッパイチイの針葉から抽出,半合成された抗癌剤であり,作用はtubulin重合促進による微小管安定と紡錘体形成阻害による細胞分裂の停止である。またbcl-2蛋白のリン酸化によるアポトーシス抑制作用の阻害によるアポトーシス誘導もあり,各種固形癌に対し単剤でも高い奏効率を示すとされている。このタキサン系薬剤はパクリタキセル,ドセタキセルに代表され,単剤治療,硫酸エストラムスチンなどとの併用療法が行われているが,2004年にドセタキセル3週ごとの投与とプレドニゾロンとの併用療法が生存率に寄与するとされ,米国Food and Drug Administration(FDA)により承認された。本邦ではこのドセタキセルについてはホルモン不応性前立腺癌の第Ⅱ相臨床試験が進行中であるが,欧米の成績に匹敵する治療成績が報告されつつある。また最近,このドセタキセル治療を前立腺全摘症例のなかのハイリスク群や,局所進行群に対してネオアジュバント療法として用いる報告もみられている。さらに,分子標的薬との併用による臨床試験なども実施されており,今後が期待される化学療法剤と考えられる。
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