Derm.2002
センチネルリンパ節生検で思うこと
鈴木 正
1
1埼玉医科大学皮膚科学教室
pp.167
発行日 2002年4月10日
Published Date 2002/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412903964
- 有料閲覧
- 文献概要
最近,皮膚悪性腫瘍の手術を計画するときに所属リンパ節をどう取り扱うか改めて考える機会が多くなってきた.数年前からわれわれの教室では,特に悪性黒色腫を中心に積極的にsentinel lymphnode(SLN)biopsyを行ってきた.当初は,単にSLNが同定できるか,どのような手技で行えば同定率を向上させることができるかということを目標にして,臨床的にリンパ節転移を有する症例も含めて,術中に色素を皮内に注入する方法で行ってきた.小型のリンパ節転移を有する症例では,そのリンパ節に色素が集まり同定可能であったが,巨大なリンパ節転移の症例の場合には,その結果の判断に悩むこともあった.その後,明らかな転移がない症例で,術前にRI法でガンマ—プローブを用いて数量的に,あるいはシンチカメラで画像としてSLNを同定するようになってきた.現在では,術前にRI法でSLNを同定し,皮膚表面にマークして,術中に色素法を行って術前にマークされた部位を中心に皮切を加えて検索するようにしている.もっとも,足底に原発巣のある場合にはほぼ決まった部位にSLNが存在するので,色素法だけでも高い同定率が得られている.
将来的にはSLNに転移が認められるか否かでリンパ節郭清の適応を決定することができれば,SLN生検は極めて有用な方法といえる.そうなれば,予防的リンパ節郭清という名称は消滅するだろう.
Copyright © 2002, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.