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ベッド数200床以上の病院にある皮膚科医の将来を考えてみた.このクラスでは皮膚科を開設していることが多い.研修指定病院であることも多い.この中には大学の附属病院なども含まれる.このクラスの病院は,経済的側面で見れば,急性期病院としての生き残りが必要となる.このためには入院患者が多く,外来受診者数が少ないほうがよく,紹介患者が多いほうがよくなる.在院日数は21日以下となるべきで,従来の各科のベッド回転率は97%以上にするとむしろ収益は下がってくる.当然,医師の定員は厳しくチェックされる.IT化が進むと,すべての物品のコストが計算され,手術室やその他すべての病院に最低必要な費用を各科で分担することになる(百貨店の中の百貨店が経営する専門店といったイメージか?治療に用いる道具が少ないから,経費が余りかからないので皮膚科はよいというのは定員1名の場合).このような枠組みの中で,皮膚科ではどのような技術が生き残りには必要だろうか?入院,手術を中心とする医療以外での生き残りは大変厳しい.つまり,外来患者は多いが低コストでは,労働としては厳しいものの,皮膚科の定員が増えることはない.入院が中心となろうが,アトピー性皮膚炎はタクロリムス軟膏が使われだし,ステロイド拒否症の患者が減少してから入院が減った.心臓のバイパス手術での入院期間が10日程度となっている(米国では3日)が,急性期病院では膠原病をゆっくり診ることができなくなるだろう.そうなると,水疱性疾患に対する透析治療や骨髄移植,悪性腫瘍の治療が主体とならざるを得なくなる(十数年前,日本に導入できなかった皮膚リンパ腫などに使われる対外循環光化学療法などはちょうどよかったのだが).当然,全身麻酔を必要とする手術が中心で,局所麻酔などの手術は日帰り外来レベルとなる.もしかしたら,外来患者が多い病院では皮膚科を外来部門として分離する考えも出てこよう.いずれにしろ,手術に習熟し,臨床手技の多くを手にしている皮膚科医が少人数で全力疾走しないと,大学以外では他科と対等な扱いを受けなくなる.もう1つの方法は,レーザーやフォトフェイシャルなどの美容皮膚科を取り入れることだろう.大学病院も,大学院大学定員や医学部の定員以外の教員,職員は,病院での実績に応じるように分配されるようになるであろうから,皮膚科の定員は少なくなるであろう.その中で,大学の皮膚科教室が皮膚科医の将来をどのように考え,大学に残る研究者以外の一般病院皮膚科専門医をどう育てるかを十分考える必要があると思われる.
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