Japanese
English
特集 皮膚真菌症の新しい治療戦略
症例報告
胃全摘患者の手指爪白癬に対する,コカコーラを用いたイトラコナゾール内服療法が有効であった1例
A case of tinea unguium of fingernails of the patient after total gastrectomy was successfully treated with Itraconazole administered with Coca-Cola
齋藤 卓也
1
Takuya SAITO
1
1第二岡本総合病院皮膚科
1Department of Dermatology, Daini Okamoto General Hospital
pp.69-70
発行日 2001年12月10日
Published Date 2001/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412903789
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はじめに
イトラコナゾール(以下,ITCZ)はH2遮断薬と併用すると,胃酸分泌量低下のため低pH状態にならず,ITCZの消化管での溶解性が低下し,吸収が低下するとされており,併用注意とされている1).しかし,H2遮断薬の種類により吸収に有意差の生じない報告2)や,脂肪分の多い食事と併用すれば問題なく吸収されるなどの報告3)があり,胃酸との関係は詳細にはわかっていない.酸性飲料であるCoca-Cola(以下,CC)と併飲するとITCZの血中濃度が上昇するという報告4)がある.今回,筆者は,「胃全摘患者の手指爪白癬に対する,C-Cを用いたITCZ内服療法が著効した1例」を経験したので,胃全摘により胃酸の全くない状態でのITCZの吸収,C-C併用による吸収の変化,臨床症状の変化につき報告する.
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