Japanese
English
症例報告
C型肝炎を合併し,抗Scl−70抗体陽性を示したクリオグロブリン血症の1例
Cryoglobulinemia in a patient with hepatitis C virus infection and positive serum Scl-70 antibody
菊池 康
1
,
金子 高英
1
,
会津 隆幸
1
,
白石 正彦
1
,
野村 和夫
1
Yasushi KIKUCHI
1
,
Takahide KANEKO
1
,
Takayuki AIZU
1
,
Masahiko SHIRAISHI
1
,
Kazuo NOMURA
1
1青森県立中央病院皮膚科
1Department of Dermatology, Aomori Prefectural Central Hospital
キーワード:
クリオグロブリン血症
,
C型肝炎
,
進行性全身性硬化症
Keyword:
クリオグロブリン血症
,
C型肝炎
,
進行性全身性硬化症
pp.812-814
発行日 1999年9月1日
Published Date 1999/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412903000
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76歳,女性.初診の3日前より両下腿に紫斑が出現.初診時,両下肢,両前腕および腹部に浸潤を触れる紫斑が見られた.腹部症状や開節症状は見られなかった.紫斑は加温により消失したというエピソードあり.また,両手のほぼ全指の爪上皮の延長と著明な出血点が見られた.しかし,手指や前腕の皮膚硬化や指尖小潰瘍などの進行性全身性硬化症(PSS)の所見は見られなかった.病理組織学的には真皮の小血管周囲に赤血球の漏出とリンパ球を主体とした小円形細胞浸潤を認める.血中クリオグロブリンおよびHCV抗体陽性,GOT, GPT,γ-GTPの軽度上昇,抗Scl−70抗体が陽性.免疫電気泳動にてmono—clonalityは認めず,III型クリオグロブリン血症と診断した.本症例ではC型肝炎とともに潜在的なPSSの可能性も考えられ,クリオグロブリン血症を診たら,より多くの視点から本疾患を観察する必要があると思われた.
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