印象記
第78回英国皮膚科学会(BAD)に参加して
天谷 雅行
1
1慶應義塾大学皮膚科学教室
pp.1058-1060
発行日 1998年11月1日
Published Date 1998/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412902718
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1998年7月7日から11日まで,ロンドンから南へ約100kmほど行った海岸沿いの街ブライトンで,第78回英国皮膚科学会が開催された.ブライトンの街のシンボルはジョージ4世がインド・中国をイメージして改装したロイヤルパビリオンで,今回の学会のプログラムの表紙にも使われていた.学会中は,暑くもなく寒くもなく,イギリスのイメージである雨にひどく降られることもなく,海岸沿いで風がやや強かったもののすごしやすい天候に恵まれた.会場は,海に面して建てられているメトロポールホテルで,アメリカ流の機能的であるけれど味もそっけもない建物ではなく,いかにも伝統と歴史のある英国のイメージにふさわしい風格を有するホテルであった.内装も外装に劣らず瀟洒な造りをしており,ヨーロッパで行われる臨床皮膚科学会初参加の私には印象的であった.
本学会の会頭は,ロンドン・セント・トーマス病院にあるセント・ジョーンズ皮膚科研究所のマーティン・ブラック先生である.本学会の伝統として,会頭は“メダリオン”を会期中常に首からかけており,すべてのセッションを聞いてまわるという話しを伺った.メダリオンには,イギリス人で皮膚科学の創始者であるロバート・ウィランの肖像が描かれている.世界皮膚科学会では,会頭から会頭に“ハンマー”が受け継がれるというのを昨年シドニーで伺ったが,目本でも菊の胸章ではなくこのように会頭から会頭に受け継がれるものがあると伝統の積み重ねの象徴になってよいのではないかと思われた.
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