ナースのためのヘルスサイコロジー講座・11
“bad news”とコミュニケーション
五十嵐 透子
1
1金沢大学医学部保健学科
pp.1060-1065
発行日 2001年11月1日
Published Date 2001/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903860
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
breaking bad news
悪い知らせを伝えること(breaking bad news)は,日常生活のさまざまな場面でみられますが,医療において“bad news”を伝える場面は以下のような場合があります.診断名や予後を伝えること(特にがんやHIV感染,難病,進行性疾患など),検査結果が望ましいものではないことを伝えること,入院治療中のクライエントに対し家族や所有物の喪失を家族に代わり伝えること,確実でないことを伝えること,残された治療法に限界のあることを伝えること,などがこれに含まれます.
数年前まではこれら“bad news”を“伝えるか・伝えないか”が議論されてきました.しかし近年では,日本でも診断名を伝えたり症状に関する説明をする割合は65〜90%に達し,予後に関してもほとんど説明しなかった状態から10%前後へと上昇しています.そのような中で,単に“伝えるか・伝えないか”ではなく,“いかに伝え,情報の本来の所有者であるクライエントと医療者がいかに分かち合うか”に焦点が置かれるようになってきました1).“breaking bad news”すなわち,悪い知らせを伝える際の伝え方について,主に情報を伝える役割を担う医師にも教育されるようになってきています.
Copyright © 2001, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.