Japanese
English
症例報告
市販住宅用洗浄剤による化学熱傷の1例
A case of chemical burns induced by detergent
秦 まき
1,2
,
横手 隆一
2
Maki HATA
1,2
,
Ryuichi YOKOTE
2
1国立駿河療養所
2国立東静病院皮膚科
1National Suruga Sanatorium
2Department of Dermatology, National Tohsei Hospital
キーワード:
化学熱傷
,
水酸化ナトリウム
,
皮膚欠損用一時的緊急被覆材
Keyword:
化学熱傷
,
水酸化ナトリウム
,
皮膚欠損用一時的緊急被覆材
pp.802-804
発行日 1998年9月1日
Published Date 1998/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412902651
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63歳,女性の市販住宅用洗浄剤による化学熱傷の1例を報告した.市販住宅用洗浄剤にて左腋窩,上肢,大腿に約20%,2〜3度の化学熱傷を負った.受傷後付着物を洗浄せず,2日間市販外用剤の塗布を行った後,当科を受診した.数日間の洗浄と外科的デブリドメントを施行した後,皮膚欠損用一時的緊急被覆材を使用し,約2か月で90%の上皮化が得られた.原因となった洗浄剤は,次亜塩素酸ナトリウム5%,水酸化ナトリウム1%,界面活性剤を主成分とするアルカリ性の溶液である.このうち水酸化ナトリウムは,腐食性が強く,潰瘍は酸によるものに比べ深くなりやすい.化学熱傷の場合,できるだけ早く洗浄することが,進行を食い止める唯一の方法であり,本症例では,受傷後洗浄せず,2日間経過していたため,深度が進行したと考えられる.
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