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5年前,レーザーから連想するものはレーザーカラオケ,レーザーディスクという楽しいものであった.しかし,4年前,外来での炭酸ガスレーザーとの出会いが,私のレーザーに対するイメージを一変させた.レーザーは,つらく,恐しく,臭いものに変わったのだ.当時,外来にはなぜかしら炭酸ガスレーザー装置が置いてあった.その新兵器を外来診療に用いるよう教授,助教授から命を受けた私は,文献を調べ,無数にある適応疾患の中から脂漏性角化症と汗管腫を選択し,おそるおそる治療を開始した.脂漏性角化症は,蒸散する時間が長く,コンピューターに用いるマイクロクリーナーを用いて非煙しても外来中ひどい臭いに包まれ,ナースやクラークから文句が出た.文句が出ても,治療効果が上がれば言い訳の一つもできるが,真皮まで蒸散し,瘢痕をつくってしまうのがこわくて,いつまでたっても腫瘍は除去できず,その時点では,いかに液体窒素による冷凍凝固術がすばらしいかを痛感した.汗管腫に関しては,誤ってレーザー光を眼球に照射してしまわないか,若い女性に瘢痕を形成してしまわないかと考え,これも結局あまり治療効果が上がらなかった.やはり,炭酸ガスレーザーは難しく有用ではないとの結論を出そうとした時,“神”(教授,助教授)は,私にこうささやいた,“well-done”.この言葉を信じ,もう一度炭酸ガスレーザー治療をしてみるとなかなか良い治療成績であった.今では,炭酸ガスレーザーは,外来診療において隆起性病変,とりわけ汗管腫,眼瞼黄色腫,化膿性肉芽腫に第一選択の治療法であると考えている.治療に際しては,生食ガーゼでふきながら蒸散した範囲,深さを確認しながら“well-done”したのは言うまでもない.
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