Japanese
English
原著
Fabry病の1例
A Case of Fabry's Disease
山田 晴義
1
,
大山 克巳
1
,
清水 宏
1
,
仲 弥
1
,
原田 敬之
1
Haruyoshi YAMADA
1
,
Katsumi OYAMA
1
,
Hiroshi SHIMIZU
1
,
Wataru NAKA
1
,
Takashi HARADA
1
1慶應義塾大学医学部皮膚科学教室
1Department of Dermatology, Keio University School of Medicine
pp.701-707
発行日 1988年8月1日
Published Date 1988/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412203939
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22歳,男.10歳頃,左大腿に点状の紅色皮疹が出現.12歳頃から運動時に発汗量が少なく,体温が容易に上昇し,同時に手足の関節痛も出現した.初診時左下肢に粟粒大の暗赤紫色斑および丘疹が散在性に多発していた.光顕的には表皮に軽度の過角化,真皮上層の毛細血管の若干の増生を認めるのみであったが,電顕的観察では真皮の殆どの血管内皮細胞胞体内に高電子密度のミエリン様物質の豊富な沈着が証明され,同様の物質は線維芽細胞および神経周細胞胞体内にも認められた.また患者末梢血中の白血球α-galactosidase活性の著明な低下を認め,発汗テストにて発汗量の著明な低下がみられた.自験例は皮疹は非典型的であったものの,疼痛発作,発汗低下を伴い,電顕および酵素学的に特異な所見を呈しFabry病と診断しえた.多発する点状の血管腫をみた場合,Fabry病をも考慮した検索が必要である点を強調するとともに,本症に関して若干の文献的考察を行った.
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