これすぽんでんす
Turner症候群と乾癬の合併について
岩月 啓氏
1
1浜松医科大学皮膚科学教室
pp.596
発行日 1992年6月1日
Published Date 1992/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412900667
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野村慶子先生,他が報告された「Turner症候群と膿疱性乾癬の合併例」(臨皮45:1059-1062,1991)を興味深く読みました.私たちも,現在21歳のTurner症候群の患者で,4歳のころから尋常性乾癬を発症し,何度か膿疱化や紅皮症化をきたしている症例を経験していますので,誌面を借りて報告したいと思います.
患者は,4歳のときから頭部,体幹に典型的な尋常性乾癬の皮疹を繰り返し生じていました.9歳時に低身長(100.9cm,−3SD,4歳相当)のために当院小児科を紹介され,皮膚科にも皮膚症状の診察依頼がありました.理学的には,低身長,翼状頸,後頭頭髪低位,漏斗胸,舌小帯短縮などがみられました.一般血液検査,心,肺,腎に形態的,機能的異常は認められませんでした.末梢血液培養法による染色体検査の結果は20個の細胞のすべてが45,XOでした.気腹術では比較的発達した子宮がみられましたが,卵巣は確認できませんでした.Estrogenは,E1;31.0pg/ml,E2;18pg/mlと正常範囲内を示しましたが,dexamethasone—HCG試験では卵巣の機能はなく,estrogenは副腎由来と考えられました.以上の所見からTurner症候群と診断されました.現在,身長136cmですが,正常大の子宮と,不整ながら月経様の出血がみられる点で典型的なTurner症候群とは異なっています.
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