Japanese
English
原著
アトピー性皮膚炎患者の乾燥皮膚の表層角層の機能的解析
Functional Analyses of Superficial Stratum Corneum in Atopic Xerosis
渡辺 真理子
1
,
田上 八朗
1
,
高橋 元次
2
,
堀井 和泉
2
Mariko WATANABE
1
,
Hachiro TAGAMI
1
,
Motoji TAKAHASHI
2
,
Izumi HORII
2
1東北大学医学部皮膚科学教室
2資生堂基礎化学研究所
1Department of Dermatology, Tohoku University School of Medicine
2Shiseido Research Center
キーワード:
アトピー性皮膚炎
,
乾燥皮膚
,
角層機能
,
尋常性魚鱗癬
Keyword:
アトピー性皮膚炎
,
乾燥皮膚
,
角層機能
,
尋常性魚鱗癬
pp.457-461
発行日 1991年6月1日
Published Date 1991/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412900379
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
アトピー性皮膚炎患者の肉眼的病変部以外にみられる乾燥皮膚(atopic xe—rosis:AX)の角層機能の特殊性を明らかにするため,前腕屈側に肉眼的病変を持たないアトピー性皮膚炎患者と正常人の前腕屈側を使用し,角層の表層を剥離(ストリッピング)する前後の経表皮水分喪失量(TEWL)と角層水分含有量の測定,簡便ストリッピング法で採取した角層細胞の形態と角層細胞間の固着性,表層角層中の水溶性アミノ酸含有量,表層の角層細胞の錯角化細胞の割合,表層角層面積の測定,角層turnover時間,角層層数算定および病理組織学的な検索を行い比較検討した.その結果からAXの角層は構成する細胞のほとんどが核を持たず小さく,その層数は多いにもかかわらず,機能的に正常のそれに劣り,しかも角層細胞間の固着性が高いため,角層細胞はある程度の塊り(小さな鱗屑)をなして表面から剥離する傾向があることを見い出した.すなわち錯角化を起こさない程度の軽い炎症があり,角層のturnover時間が短縮していると考えた.
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.