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特集 最近のトピックス Clinical Dermatology 1990
II 新しい検査法と診断法
角層脂質の性状,機能とその測定
Properties and function of the stratum corneum lipids and its measurement
芋川 玄爾
1
Genji IMOKAWA
1
1花王栃木研究所
1Kao Tochigi Research Laboratories
キーワード:
角質細胞間脂質
,
水分保持機能
,
セラミド
,
ラメラ構造
Keyword:
角質細胞間脂質
,
水分保持機能
,
セラミド
,
ラメラ構造
pp.583-588
発行日 1990年5月15日
Published Date 1990/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412900109
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角質細胞間脂質(SCL)の角層水分保持機能への関与を解析するため,人前腕皮膚よりアセトン/エーテル処理により抽出される脂質組成と角層水分保持機能の減少の程度を比較検討した.角層水分量は1分処理で皮脂腺由来脂質が抽出される条件では,有意な変化を示さないのに対し,SCLが主に抽出される10-30分処理では,処理時間に依存した角層水分の有意な減少を示した.この角層水分保持機能の傷害は抽出SCLを塗布することにより回復し,SCL中セラミド画分が最も高い回復効果を示した.一方,皮脂腺由来脂質では回復効果は認められなかった.抽出SCLは皮脂腺由来脂質とは異なり,水の存在でラメラ構造を形成し,示差熱分析より水を構造水(結合水)として5%程度抱える物理化学的特徴を示した.以上より角層水分保持機能に関与する因子として,SCLの重要性が確認され,中でもスフィンゴ脂質の主要な役割が明らかとなった.
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