Japanese
English
症例報告
クレゾールによる自殺企図で生じた化学損傷の1例
A case of chemical injury due to a suicide attempt by cresol
朝倉 茉由
1
,
葉山 惟大
1
,
守田 達郎
1
,
髙橋 昌五
1
,
井汲 菜摘
1
,
藤田 英樹
1
Mayu ASAKURA
1
,
Koremasa HAYAMA
1
,
Tatsuro MORITA
1
,
Shogo TAKAHASHI
1
,
Natsumi IKUMI
1
,
Hideki FUJITA
1
1日本大学医学部皮膚科学系皮膚科学分野
1Division of Cutaneous Science, Department of Dermatology, Nihon University School of Medicine, Tokyo, Japan
キーワード:
クレゾール
,
化学損傷
,
意識障害
,
中毒
,
自殺企図
Keyword:
クレゾール
,
化学損傷
,
意識障害
,
中毒
,
自殺企図
pp.987-992
発行日 2024年12月1日
Published Date 2024/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412207450
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
要約 53歳,女性.顔面の広範囲が褐色に変色し,意識障害を伴っていたため紹介され受診した.顔面,頸部,右上腕,左下腿の広範囲が褐色調に変化し,意識レベルはJapan Coma Scale Ⅲ-200であった.家族の話から,アルコール乱用が背景にあり自殺企図でクレゾールを被ったことが判明し,クレゾールによる化学損傷・中毒の診断で入院加療を開始した.軽度の肝腎機能障害がみられたが,呼吸抑制や循環虚脱はなかった.意識障害は急速補液で改善した.皮膚病変は二次感染を生じて抗菌薬治療を要したが,保存的治療で軽快したため,2週間で退院した.クレゾールは第2類医薬品の消毒剤であるため簡単に入手できるが,強アルカリ性であり,使用時には希釈を要する.皮膚に付着すると化学損傷だけでなく中毒症状を起こす危険があるため,皮膚科医は中毒症状や十分な補液の必要性についても理解しておく必要がある.
Copyright © 2024, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.