視座
入学試験地域枠拡大に思うこと
伊藤 浩
1
1旭川医科大学整形外科
pp.933-934
発行日 2012年10月25日
Published Date 2012/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408102471
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近年は旭川医科大学出身者の中で当病院に残り,初期研修を受ける卒業生は多くて年に20~30名程度であり,整形外科医局入局者は毎年1~3名にすぎず,医師数の不足が大きな問題となっている.最近は北海道地図をみるのが辛い.関連病院の派遣撤退や人数削減を余儀なくされた病院がすぐ頭に浮かぶからである.ある地方の病院では整形外科医撤退のため,3~4時間の距離にある他の市立病院に,膝の関節注射のため通わなければならなくなった多くの患者がいるという.誰もが「命は誰しも平等だ」と言いながら医療の地域格差,国際的格差は逆に拡大しているのが実情である.
しかし,大学病院のある程度の充実を図るためには,涙を呑んで派遣撤退や人数削減を決定せざるを得ない.道北の現状では,整形外科の股関節,下肢,上肢,脊椎,腫瘍疾患の専門的治療を行える施設は旭川医科大学病院のみであり,各専門グループの充実が地域医療にとり重要である.当教室には各専門グループ間でバランスのよい連携をとりながら,教室全体のレベルアップを図ってきた歴史がある.今後も自分の専門領域である股関節に偏らず,各専門グループのさらなる充実を第一に優先して考え,地域医療における中核病院としての機能を保たなければならない.
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