Japanese
English
症例報告
中毒性表皮壊死症様の症状を呈したエンホルツマブ ベドチンによる皮膚障害の1例
A case of toxic epidermal necrolysis-like cutaneous adverse reation caused by enfortumab vedotin
須田 文
1,2
,
山田 隆弘
1
,
武藤 正彦
1
,
是永 佳仁
3
Aya SUDA
1,2
,
Takahiro YAMADA
1
,
Masahiko MUTO
1
,
Yoshihito KORENAGA
3
1山口県立総合医療センター皮膚科
2山口大学大学院医学系研究科皮膚科学講座
3山口県立総合医療センター泌尿器科
1Division of Dermatology, Yamaguchi Prefectural Grand Medical Center, Hofu, Japan
2Department of Dermatology, Yamaguchi University Graduate School of Medicine, Ube, Japan
3Division of Urology, Yamaguchi Prefectural Grand Medical Center, Hofu, Japan
キーワード:
抗体薬物複合体
,
中毒性表皮壊死症
,
エンホルツマブ ベドチン
Keyword:
抗体薬物複合体
,
中毒性表皮壊死症
,
エンホルツマブ ベドチン
pp.489-493
発行日 2024年6月1日
Published Date 2024/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412207337
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
要約 83歳,男性.左尿管癌の三次治療としてエンホルツマブ ベドチン(EV)が開始された.初回投与から9日後に全身に瘙痒を伴う紅斑を認め,その後発熱,粘膜症状が出現した.病理組織検査では表皮が全層性に脱落しており,EVによる皮膚障害と診断した.ベタメタゾン4 mgを開始したところ,紅斑は消退し,びらんは上皮化傾向を示した.EVは正常皮膚にも発現するnectin-4を標的とした抗体薬物複合体(antibody-drug conjugate:ADC)である.Stevens-Johnson症候群(Stevens-Johnson syndrome:SJS)や中毒性表皮壊死症(toxic epidermal necrolysis:TEN)様の皮疹を生じた重症例も報告されており,死亡例もある.自験例はステロイド投与にて治癒したが,performance statusの悪化のためEV再投与は行われず,原疾患により死亡する経過を辿った.EVによる重篤な皮膚障害は従来のTENとは異なるメカニズムに起因する可能性があり,ステロイド内服の再投与など,適切な治療方針についての議論を他科主治医と熟議していく必要がある.
Copyright © 2024, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.