Derm.2024
壊死性軟部組織感染症が流行か?
深松 紘子
1
1川崎医科大学総合医療センター皮膚科
pp.167
発行日 2024年4月10日
Published Date 2024/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412207302
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11月末のある日,壊死性軟部組織感染症(necrotizing soft tissue infection : NSTI)の患者さんが他院から救急車で搬送されてきた.体重110 kg,HbA1c 9.5%,プロカルシトニン5.9 ng/ml.緊急手術を行いICU管理となった.創部の培養からはMSSA(meticillin-resistant Staphylococcus aureus)や嫌気性菌が検出された.それから約1か月後,今度は私の外来へ蜂窩織炎で熱が出て元気がないとの紹介状を持った高齢の患者さんがやって来た.足背に紅斑と紫斑があり,確かに元気ではない….NSTIはつい最近来たばかりで,こんなにすぐにはないでしょ?と思った.しかし,願いもむなしくプロカルシトニンは27 ng/ml.緊急手術を行いICUに入室した.培養ではG群溶連菌が検出された.さらに数日後,またもNSTI患者の受け入れ打診があった.今は無理…と思ったら形成外科が受け入れてくれた.1例目の再来かと思うような糖尿病コントロール不良の体幹部の症例で,またも嫌気性菌などの混合感染だった.しかし,すでに刺客が潜んでいた.同じ日に内科からコンサルトされた肘の打撲後の軟部組織感染症がHCUに入院しており,往診した先生が絶対に蜂窩織炎じゃない,とつぶやいていた.ちょっと試験切開すると大量の米のとぎ汁様の滲出液が流れ出た.プロカルシトニン5.5 ng/ml.培養はG群溶連菌.この3例目の到着までわずか1か月半のできごとだった.
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